資料名 | クニンダ貨幣 |
これは紀元前1世紀、インド北方(現在のデリーの北)クニンダ族発行の銀貨。
表裏両面に異なる文字と言語による銘文がある。いわゆる二言語併用貨幣。紀元前2
世紀にギリシア系バクトリア王国に出現した二言語併用貨幣をまねたものである。 (左)インドの伝統的なシンボルマークの周囲にカローシュティー文字で書か れたインド俗語(ガンダーラ語)がある。右から左に読む二行の銘文が貨幣の周辺 に沿って配されている。一行目は、4時の位置より反時計回りに貨幣の内側より見て ra[n~a](王か?)、[ku]nidasa(クニンダの)、amogha[bhu]tisa(アモガブティの) とある。[ ]はAllan1936:159で補った部分。二行目は、4時半の位置より時計回りに 貨幣の外側より見て“maharajasa”(大王の)とある。なお、“maharajasa”のja の字形であるが、規範的なものにはラテン文字の y のように下に突き出る部分がある。 しかしながらこの貨幣には、それが見られない。 (右)女神とみられる立像と鹿の周囲にブラーフミィー文字で書かれたインド語(サンスクリット語か?) がある。左から右に読む一行の銘文が貨幣の周囲に沿って配されている。9時の位置より 貨幣の内側より見てrājn~ah(hの下に点。王の)、kun[im]dasa(mの上に点。 クニンダの)、[amoghabhuti]sa(アモガブティの)、mahā[rāja]sa(大王の)とある。 [ ]はAllan1936で補った部分。なお、Allan1936は三箇所の属格語尾をsya(or sa)とするが、 この貨幣ではsaとなっている。 以上により表裏銘文を“クニンダの王、大王アモガブティの”と読む。 参考文献:John Allan1936.“Catalogue of the Coins of Ancient India.”The British Museum,London.First Indian Edition 1975.By Oriental Books Reprint Corporation. (文責:吉池孝一2010.6.15) |
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資料記号 | i2k01 | |
文字/言語 | カローシュテミー文字・ブラーフミー文字/インド俗語(ガンダーラ語)・インド語 | |
材質/形態 | 銀/円形コイン(打刻) | |
重さ | 2.2g | |
大きさ | 直径17.48mm、厚さ1.56mm | |
管理/所蔵 | 古代文字資料館/個人蔵 |