資料名 | ミハイル・フョードロヴィッチの銀貨 |
17世紀ロシアのロマノフ朝初代の君主ミハイル・フョードロヴィッチ・ロマノフ(在位1613-45年)の貨幣。 表(画像右)には槍を持った馬上の騎士が描かれているはずであるが、わずかに馬の脚と槍の先が確認できるのみである。 裏(画像左)の銘文は8割ほど見えているが右部が欠けている。ミハイル・フョードロヴィッチの貨幣は銘文のヴァリエーションが かなり豊富であり、綴り・配置・字形の相互に異なるものが恐らく20種類以上は存在する。欠落部分を推定するには、 まずどのタイプの貨幣かを同定することが必要となる。 ウェブサイト「Проект посвящен Русской монете」にロシア歴代の コインの図柄と銘文の模写が多数収められており、参考にできる。そのサイトの中の資料番号790、811、813 の銘文が、本コインの銘文と綴り・配置・字形の面で一致するようである。(ただしそれらの資料の銘文にも欠落がある) それを参考にすれば、本コインの銘文は、最上部に綴りの省略を表すチルダ記号(ロシア語でтитло)があったはずで、 それに続いて、以下のようになる。括弧内は欠落部分。 第1行 ЦРЬ И В(Е) 第2行 ЛИКИI КН(SЬ) 第3行 МIХЯIЛ(Ъ ФЕДО) 第4行 РОВИЧ(Ь ВСЕ) 第5行 Я РУ(СI) 全体で「全ルーシのツァーリ(皇帝)にして大公、ミハイル・フョードロヴィッチ」となる。 「ミハイル」の部分は同種の他のコインでは「МIХЯIЛЪ」の他に「МIХЯIЛО」「МИХАIЛЪ」「МИХАИЛО」など多くの バリエーションがある。他の語も同様に綴りが一定していない。 なお、冒頭の「ツァーリ」を示す語は母音が省略されているだけでなく、「Ц」と「Р」が合字として一文字で記されている。 ミハイル・フョードロヴィッチのコインでは合字を用いるものと独立して記すものの両種がある。 現在用いられていない文字については、イヴァン4世のコインの解説を参照されたい。 (文責:中村雅之) |
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資料記号 | r2k03 | |
文字/言語 | キリル文字/ロシア語 | |
材質/形態 | 銀/楕円形コイン(打刻) | |
重さ | **g | |
大きさ | 径:**mm、厚さ:**mm | |
管理/所蔵 | 古代文字資料館/酒井俊昭氏蔵 |