トップページサイトマップ>50音順文字索引

文字ならびに解説は随時追加訂正されます

文字名 使用時期 使用地域 主要言語 由来等 備考
アラビア文字 6世紀頃から現在まで 中東・アフリカ北部・中央アジアなど アラビア語・ペルシャ語・チュルク語 前2世紀から後4世紀頃に用いられたナバテア文字に由来する。 この文字は西アジアから中国北西部までイスラム圏の貨幣に広く用いられる。
ウイグル文字 8世紀頃から16世紀頃 中央アジアおよび中国 ウイグル語・モンゴル語 ソグド文字に由来する。 ウイグル語の表記に用いられるほか、初期のモンゴル語の表記にも採用された。
カローシュティー文字 前3世紀から後5世紀頃まで 西北インドで使用され始め、 後に中国西域まで広まった 西北プラークリット語(ガンダーラ語) 字形はアラム文字に由来するが、母音記号 を添加する方式はブラーフミー文字に類似する。 カローシュティー文字の解読は、ギリシア文字との2言語表記貨幣を 契機としてなされた。
漢字1

漢代銅鏡文字
前2世紀から後2世紀 中国 漢語 漢字 漢代銅鏡の文字は資料ごとに多種多様な書体で記される。篆書体に近いものから隷書体に近いもの、さらには様々な独特の省略書体など。一つの資料だけを眺めた場合には読めないものも少なくないが、幸い漢代銅鏡の文章は多少の改変を経て複数の資料で使いまわされることが多く、そのため相互の比較によって解読が可能になっている。
漢字2

戦国貨幣文字
前5世紀から前3世紀 中国 漢語 漢字 戦国時代の漢字には地域ごとに多様な変種があり、どの資料に おいても解読はさほど容易ではない。とりわけ貨幣の文字は、記される 字数が少ないこともあり、解釈に諸説を生じることも多い。
漢字3
その他の漢字
前14世紀から現代 中国 漢語 漢字 仏像や墓碑、拓本など。
契丹文字 10世紀から12世紀まで 遼の版図(現中国北方地域) 契丹語 大字と小字の2種がある。遼の太祖の時、大字は920年に作成され、小字は924年頃作成されたという。 契丹人の建てた遼朝の文字であるが、金朝に入ってからも用いられ、1191年に廃止された。大字、小字ともに未解読の部分が多い。
ギリシア文字 前9世紀頃から現在まで ギリシアおよび地中海沿岸から西北インドにかけて ギリシア語 フェニキア文字に由来し、ギリシア語の表記に適するように 母音字母などを加えた。 他の文字との対訳資料が豊富で、ヒエログリフやカローシュティー文字などの解読に も大きな役割を果たした。
女真文字 12世紀前半から15世紀(?)まで 金の版図(現中国北方地域) 女真語 女真大字が1119年に、女真小字が1138年に作成されたというが、大字と小字の具体的な差異については定説はない。 漢字や契丹文字と類似の字形が見られる。 金朝滅亡(1234)後も長く使用されたらしく、明代の碑文や乙種『女真館訳語』にもこの文字が記されている。女真語は清朝の満洲語の前身というべき言語である。
西夏文字 11世紀前半から13世紀前半まで 西夏国(現中国西北地域) 西夏語 西夏王李元昊が1036年に公布。文字の構成配列法は漢字を模したもの。個々の文字構成要素 の由来は不明。 西夏国滅亡(1227年)後も一部で使われていたようで、明代中期の資料が出土している。
ソグド文字 4世紀から8世紀 中央アジア ソグド語 アラム文字に由来する。 仏典、マニ教文書、碑文のほか、チャチ地方・ソグディアナ地方・セミレチエ地方の貨幣が知られている。
パスパ文字 13世紀から14世紀 主に東アジア モンゴル語・漢語・チベット語 1269年にフビライ・ハーンの命により、チベット人パスパが作成。チベット文字をもとに改良を加えたもの。 現存する資料としては、漢語を記したものが最も多く、モンゴル語がそれに次ぐ。この文字の使用は元朝の滅亡とともにほとんど途絶えたが、印章や紙幣のチベット語表記においては近代まで用いられた。
満洲文字 17世紀から20世紀 中国 満洲語・漢語 初期の満洲文字はモンゴル文字をそのまま借用した(無圏点満洲文字)。 その後、1632年に改良が加えられた(有圏点満洲文字)。 清朝の公用文字であった。現在でも、この文字を改良したシボ文字が、満洲族の流れを汲む新疆のシボ族の間でシボ語の表記に細々と使用されている。
ラテン文字 紀元前7世紀頃から現在まで イタリア半島から発し、全世界へ。 始めはラテン語の表記に用いられ、後に様々な言語に採用された。 ギリシア文字に由来する。 本館では中世ヨーロッパのヴェラム文書を管理している。