2004年4月15日付「おろしゃ会」ニュース


Фестиваль Российских Кинопроизведений


 

おろしゃ会・第6回ロシア映画上映会

                  

クロイツェル・ソナタ

 

15 B211教室 午後時より

 

文豪レフ・トルストイの『クロイツェル・ソナタ』(原卓也訳・新潮文庫)を文字通り忠実に映画化したもの。トルストイはこの作品の前に、長編『アンナ・カレーニナ』(1873-77)を書き、不倫に走ったアンナの破滅を描いたが、『クロイツェル・ソナタ』(1889)では、妻の不倫妄想に悩む男が、凄まじい嫉妬のあげくに妻を殺害するという悲劇を描く。この当時、トルストイはキリスト教に基づく倫理を徹底して追求しており、性的な快楽ばかりではなく、音楽すら人の情動を不安定にするとしてその価値を否定していた。だがクロイツェル・ソナタの激しい旋律に心を揺すぶられる人間の描写は、トルストイの音楽的感性が並々ならぬことを示している。また妻を殺害するに至る夫の心理描写の生々しさは、ドストエフスキーの『罪と罰』(近日上映)に比肩するリアリティを感じさせる。

すでに愛の不条理に行き着いてしまった大人や、青春の蹉跌をへて早く大人になりたいと切望する若者たちが見るべき映画である。(SK)

 

製作 モスフィルム1987年
監督 ミハイル・シヴェイツェル

キャスト オレーグ・ヤンコフスキ/イリナ・セレズニョーワ

クロイツェル・ソナタ」パンフレット(1989年11月11日発行)より転載 右より夫・妻・音楽教師

お問い合わせ
愛知県立大学「おろしゃ会」(学生会館D202) 代表 加藤彩美 または 顧問 加藤史朗(内線2914)まで