16世紀古文書から見たアステカの世界観

ベルナルディーノ・デ・サアグン

「ヌエバ・エスパーニャ概史:七巻 原住民の占星術について」

第三章 マステレホスとよばれた星について

日本語訳:大野友実

1) アステカの人々は牡牛座のしるしであるスバルの近くにある天のマステレホスに対して特有の畏敬を抱き、生け贄を行なった。これらの生け贄や儀式は太陽の祭りの後、再びそれらの星が現れた時に行われていた。香が差し出されたあとのべられた、「ヨアルテクトリとヤカウイツトリはもう出た。今夜は何が起きようというのか。」または「今夜はどんな終わりがあるのか、繁栄か衰退か。」 香が三回捧げられた。なぜなら三つの星の為に行われていたからだ。一回目は夜の始まり、二回目は夜中の三時、三回目は夜明けの始まりに行われた。

2) これらの三つの星はママルウアストリと呼ばれている。そして火を放つ木の棒、つまり燃えている棒もおなじように呼ばれる。なぜならそれは星に少し似ているし、火を起こすことがそこからきているからだ。ここからこれらの星の名誉の為、男に対してその手首に焼き印をつける習慣が生まれた。この焼き印をつけなかったものが死んだ時は、現世で棒から火をおこしていた時のように、地獄で手首に穴を空けられながら火をつけなければならないのだと言われていた。

3) この人々は金星をシトラポルやウエイシトラリン、また大きな星と呼んでいた。その星が東方から出現する時、四回発行するといわれていた。最初の三回はあまり明るくなく再び隠れてしまう。しかし四回目はその星の最大限の明るさで現れ、その進路を通り、まるで月のように明るいひかりを放つといわれている。

4) 一回目のの光が起こる時、不吉なことの前兆であり、病気を運んでくるとされていた。そのため人々は光が入ってこないようにドアや窓を閉めた。しかし東から現れた「時の初めの原理」によっては、幸運の前兆とされた。