16世紀古文書から見たアステカの世界観

ベルナルディーノ・デ・サアグン

「ヌエバ・エスパーニャ概史:七巻 原住民の占星術について」

第四章 彗星(ほうき星)について

日本語訳:榊原 理加

1. このひとびとは、そのすい星を、煙を出す星、という意味で、シトラリンポポカ、と呼んでいた。ある王子、または王の死や、戦争、飢餓の前兆であった。下層階層の人々は、それは自分たちに来る飢餓だといっていた。

2. この人々は、火を噴くすい星を、矢を放つ星、という意味で、シトラリントラミナ、と呼び、その矢は、いつも、野ウサギか、ウサギ、または、その他の虫で傷つけたところからウジがわき、よって食べることの出来ない動物の上に落ちる、といわれていた。この理由から、この人々は、燃えるすい星が自分たちの上に落ちてこないように、夜は避難するようにした。

3. 小熊座の入り口にある星を、この人々は、シトラスソネクイジ、と呼んでいた。他の星から離れ一人で存在し、輝いていたと言われている7つの星でSの字を描いている。そう呼ばれたのは、あるパンの習慣ににていたからであった。パンをソネクイジと呼ばれるsの字の方法で作り、どの家でもそれをソチルウイトルと呼ばれる1年のある1日に食べていた。

4. あれらの星は、ある地方では、熊座と呼ばれたが、この人々は蠍座と呼んでいた。なぜならこの星は、サソリの様な形をしていたからである。それで、世界の大部分ではこのように呼ばれていた。