資料名 | 至正通宝紀年銭5種 |
モンゴル人支配下の元朝の貨幣。表に漢字で「至正通寶」とある。至正年間即ち元代最後の皇帝である順帝(トゴンテムル)
のときに発行された貨幣。裏には十二支のパスパ文字漢語の紀年がある。 @はy1in(寅)とある。至正10年庚寅(1350年)発行。 Aはm(a)v(卯)とある。至正11年辛卯(1351年)発行。 Bはš1in(辰)とある。至正12年壬辰(1352年)発行。 Cはzhi(巳)とある。至正13年癸巳(1353年)発行。 Dはu(午)とある。至正14年甲午(1354年)発行。 至正年間に紀年が「寅卯辰巳」と連続する時は、至正10-13と至正22-25がある。元史巻92志第41下百官八には「諸路寶泉都提擧司, 至正十年十月置。其屬有鼓鑄局,正七品;永利庫,從七品。掌鼓鑄至正銅錢,印造交鈔。」 とあるから至正10年から「寶泉都提擧司」で至正銭の鋳造を始めたことがわかる。さらに、元史巻43本紀第42順帝六の14年12月の条に 「罷庸田、茶運、寶泉等司。」とあるから至正14年に「寶泉都提擧司」を廃止したことがわかる。 この廃止にともない至正銭の鋳造も取りやめとなったと推定することができる。以上の元史の記述により至正通寶裏のパスパ文字漢語の 「寅卯辰巳」は至正10-13のものということになる。 参考文献:遠藤亀松(1981)『元朝銭史の研究』東京:葵工業。 (文責:吉池孝一2014.3.18) (→転写方式) |
---|---|---|
資料記号 | pz2k10 | |
文字/言語 | パスパ文字・漢字/漢語 | |
材質/形態 | 銅/穴銭 | |
重さ | ** | |
大きさ | ** | |
管理/所蔵 | 古代文字資料館/個人蔵 |