パスパ文字('Phags-pa script)を知る
(1)パスパ文字の実例(貨幣銘文)

(2)いつ誰が作ったのか?

(3)パスパ文字の背景

(4)基本資料『元史』の釈老伝

(5)なぜパスパ文字を作ったのか?

(6)日本のパスパ文字資料

(7)パスパ文字という名称

(8)パスパ文字以前の文字

(9)パスパ文字で何語を書いたか?

(10)パスパ文字モンゴル語とパスパ文字漢語の碑文

(11)パスパ文字の用途

(12)パスパ文字の使用地域

(13)パスパ文字の文字表

(14)綴り方の特徴

(15)書写の方向

(16)パスパ文字を読む

(17)基本参考文献

(18)チベットのパスパ文字
(3)パスパ文字の背景

 高校の世界史の教科書(三省堂の『世界史〔B〕』)によると、モンゴル高原では 1206年にモンゴル系・トルコ系の諸族を統一したモンゴル帝国が成立し、その後 アジアからヨーロッパにまたがる大帝国に発展しました。その過程で、モンゴル帝国は 幾つかのハン国にわかれました。支配地域を単独の組織によって統治するのはむずかし かったようです。ロシアのキプチャク=ハン国(1243-1502)、中央アジアのチャガ タイ=ハン国(1227-14C後半)、西北モンゴルのオゴタイ=ハン国(1224?-1310)、イラン 方面のイル=ハン国(1258-1411)がそれです。

 その後、チンギス=ハンの孫にあたるフビライ(在位1260-1294)が第五代の大ハンに 即位するのですが、そのとき即位に反対する反乱がおこりました。抗争ののちに各ハン国は 独立し、帝国は事実上分裂したようです。フビライ=ハンは即位後、首都をカラコルムから 大都(現在の北京)に移し、国号を元(1271-1368)とし、1279年には中国の南にあった 南宋を滅ぼし、全中国を支配することとなりました。

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