おろしゃ会会報 第15号その7

2008年10月17日

 

 

亀山郁夫先生講演会

 

 

 

チラシの裏

 

「おろしゃ会」について

 

愛知県立大学の「おろしゃ会」は、ほぼ10年近く前に同大学のロシア語履修者を中心に創設されたロシア研究のサークルです。その時の設立趣意書をご紹介いたします。

 

おろしゃ会設立趣意書

 

 

1999年2月8日(月曜日)、愛知県立大学学生有志は「おろしゃ会」を結成した。
「おろしゃ」とは、混沌としていまだ行方定まらぬあの「ロシア」を指す。 我々の祖先は、この国と最初に接したとき、それを「おろしゃ」と呼んだ。Rossiyaは素直に耳を傾ければ「オロシャ」と聞こえるからである。その後、この国の呼称は魯西亜、露西亜、ロシヤさらにはロシアへと変遷した。外務省令によるとは言え、英語の Russia が決定的な影響を与えたものと思われる。両国間の関係にはオランダ・イギリス・アメリカなど第3国が介入した歴史がある。その間、我が国は彼の国と真正面から向き合うことなく、恐怖感と侮蔑感の間を揺れ動いてきた。ロシア革命後にソ連が成立すると「おろしゃ」は文字どおり「おそろしや」となり、今またその「そ」が抜け落ちると、ロシアは侮蔑の対象となった。主体性のない、つまらない話しだ。

 我々は、祖先が素直に彼の国を表現した「おろしゃ」を会名とする。その趣意は、苦渋に満ちた両国間の歴史を踏まえつつも、素直に「おろしゃ」と向き合い、これを見聞し研究せんとすることにある。歴史は現在を制約するが、未来までも制約するものではないからである。混沌が新しいものの始まりを意味するとするならば、混沌のスケールにおいてはるかに我が国を凌駕する「おろしゃ」と真正面から向き合うことには、少なからぬ意味を見出せると確信する。

 

 

活動の歩みと現状は、以下のホームページをご覧下さい。

http://www.for.aichi-pu.ac.jp/~kshiro/orosia.html

 

 

加藤 晋先生記念文庫と基金について

 

おろしゃ会には、加藤 晋先生記念文庫があります。名古屋市在住の医師・加藤 晋先生は、おろしゃ会が発足して間もない2001年から今年に至るまで、三度に渡り大学を訪問され、合計でおおよそ500点に及ぶ書籍などの活字資料、ビデオ、CD、カセットテープ、DVDなどの視聴覚資料を寄付されました。先生が最後に大学に来られたのは、2008年の1月30日午前11時のことでした。この日先生は、ご夫人同道でいらっしゃいました。そして、書籍などたくさんの資料の他に、金100万円をご寄付下さったのです。先生は、それから間もない318日、肺癌のため他界なさいました。

私どもは、顧問の教員と学生たちの代表で加藤 晋先生基金管理委員会を作り、先生のご遺志にそうように基金を活用させていただくことを誓いました。

この度、愛知県立大学との共催で開くシンポジウム「日本とロシア―若い世代へ−文学の立場から」は、先生の基金を活用した企画の第一弾です。東京外国語大学長の亀山郁夫先生に企画の趣旨をお話しし、講師として提言をお願いしたところ、ご多忙中にもかかわらず「光栄です」と快諾して下さいました。提言の内容は、「グローバル化時代のドストエフスキー ―『カラマーゾフの兄弟』と『罪と罰』の可能性―」です。

来年度も、会の創立10周年を記念して同趣旨のシンポジウムを計画しています。次回は「歴史学の立場から」として日露関係の歴史研究者に提言をお願いする予定です。

 

加藤晋先生文庫について http://www.for.aichi-pu.ac.jp/~kshiro/bunnko.htm

加藤晋先生基金について http://www.for.aichi-pu.ac.jp/~kshiro/orosia15-1.html

 

ご照会は、愛知県立大学外国語学部 加藤史朗まで。

電話 0561-64-1111 内線2914 メール: myherzen@yahoo.co.jp