Arqueología de Teotihuacan, México 

月のピラミッド内部で見つかった7層のモニュメント


  月のピラミッド調査団によって発掘されたトンネルにより、ピラミッド内部に7層に重なった建物が確認された。古代テオティワカン人はある一定期間毎にピラミッドを増築していたことが知られている。建替えの度に、古い建造物が他の新しい建造物に覆われる、つまり一時代前に建てられた建造物が新しい建造物の埋め土となるような方法で重ねられた。

月の広場に建てられた第1期の建造物は、後に建てられた建造物と比較するととても小さく、現在のピラミッドのアドサダ(前庭部)の下から見つかった。この建造物の形状はその後3つの建造物のように、底辺は正方形だった。建築の初めの3つの時期におけるピラミッド増築は段階的なものであったが、第4期の建造物(3つの建造物を覆ったもの)は、北の方まで飛躍的に拡大(第3期建造物の9倍)した。これにより、この建造物は都市の政治組織において重要な時期を示していると考えられる。

 

 


5期建造物の建築も住民のイデオロギーにおいて、またエリート階層の関心の変容において大変重要な出来事に相応するものに違いなかった。それはこの時代のピラミッドの形状は目に見えて大きな改築を受けていたからである。第5期建造物の建築以降、建造物の一つ一つは、その南側に小さな前庭部を持った四角い基壇を有するプラットホームから成っていた。上に重ねられた第6期建造物は紀元4世紀に建てられ、現在見られる第7期の大きさにほとんど追いつくように、北、東、西側に向けて再び大きく増築された時期を示している。ピラミッド第7期の改築は最後になされたものだが、それはテオティワカン崩壊まで使われ続けたものであったことが分かっている。なぜなら、その両側面に加えられた、又はその付近に建てられた後の建築物を発見したからである。


第4期からは、増築が行われる度にピラミッドの南北中心軸上(テオティワカンの街の軸と同じもの)に、埋葬複合品セットが置かれた事が分かっている。これら“埋葬体2”“
埋葬体3”“埋葬体4”と呼ばれるものは、それぞれ第4期、第5期、第6期建造物に相応する。見つかったこれらの埋葬品セットは、その類稀な質の高さや配置で我々を驚かせた。そして、それらの埋葬品セットは、古代テオティワカン人のシンボリズムや国家のイデオロギーを再現する多くの資料を与えてくれる。

 




Last Update: 7/13/2002(スペイン語からの日本語訳:毛利幸加、吉澤ひろみ)
Saburo Sugiyama: Aichi Prefectural University/Arizona State University
©Copyright 2002: Moon Pyramid Project, Aichi Prefectural University, Japan/ Instituto Nacional de Antropología e Historia, México/ Arizona State University, USA
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