長田夏樹学術資料庫
資料庫の内容

1.開設の辞

2.長田夏樹氏年譜
(長田礼子編、『長田夏樹先生追悼集』所収)

3.長田夏樹氏著作目録
(長田礼子・長田俊樹編、『追悼集』所収、なお今回の再掲に当たって若干の加筆を施しました)

4.長田夏樹氏旧蔵学術資料目録
 (1)抜刷論文・電子複写論文・口頭発表資料
 (2)拓本類目録
 (3)ロシア語図書目録(試供版)(4/23)
 (4)非ロシア語図書目録
 (5)豊田五郎氏稀覯論文

5.長田論文への書評・紹介文および関連論文目録
(漸次増補します)

6. 「長田文庫所蔵朝鮮語教科書解題」
(伊藤英人編、当サイトを離れます)


開設の辞


 2010年1月に亡くなった言語学の異才・長田夏樹氏の思考の世界を探り、吸収し、発展させるべく、「長田夏樹学術資料庫」を開設しました。生前、長田氏の業績は十分に正当な評価を得たとは言えません。それにはいくつかの理由があるでしょう。長田氏自身が自説の根拠をわかりやすく説明することに熱心でなかったこと、あるいは初期論文における少なからぬ数の誤植と校正の不徹底などです。しかし、根本的な要因は、長田夏樹という一人の研究者の扱った資料があまりに広範にわたり、そこから繰り広げられる諸説の総体を理解するのが極めて困難であったということに尽きるのではないでしょうか。

 長田氏が関わった分野は、古代日本語、契丹語、女真語、西夏語、モンゴル語、朝鮮語、タイ語、中国文学、漢語音韻史、漢語方言、漢語白話史、さらには諸分野にわたる総合的な研究など、およそ単独の学者が扱うことのできる範囲をはるかに超えているようにさえ思われます。他の研究者が自分の専門分野に関連する論文のみを対象として長田氏の業績を測るのは、あたかも群盲象を撫でるが如しと言わざるを得ません。

 長田学説の魅力は種々の対音対訳資料を武器として、それまで誰も考え付かなかったような新奇な発想を次々と開陳していることでしょう。ある意味では、個々の結論よりも、それに至る過程で言及された独自の見解にこそ、新たな研究へと広がる種が散りばめられているのです。それらの種を読み解き開花させるには衆人の英知が必要です。その意味で、『長田夏樹先生追悼集』(好文出版、2011)で試みられたような、複数の研究者による論文紹介・批評は適切な方法と言えるでしょう。

 古代文字資料館では、長田家のご厚意により、夏樹氏旧蔵の諸資料を借り受けて整理・公開することにしました。自筆の書き込みのある図書、自筆ノート類、拓本類、そしてロシア語図書については当館が管理しています。「長田夏樹学術資料庫」では、それらの資料目録を順次作成し、資料の画像を公開していきます。また、初期論文など印刷不鮮明のものや誤植の多いものについては新たな翻刻をウェブ上に提供することも考えています。長田論文の書評や関連論文についても、可能なものはリンクを張って閲覧できるようにし、参考に供したいと思います。「長田夏樹学術資料庫」の完成には数年を費やすと思われますが、この試みが一人でも多くの人の発想を刺激し、新たな研究の花を咲かせてくれることを願ってやみません。(中村雅之 2012/12/18)


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