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農業

 500年近く前に、スペイン人はメキシコ、テノチティトランに到達して、このジオラマに似た風景を見た。メシーカ人はテクココ湖の中央に都市を建設した。その湖は私達が想像するにすばらしい青色をしていて、豊富な植物と動物に満ちており、そのため重要な食料資源の供給源であった。時間の経過とともに、メシーカ人は都市農業の大きな発展を成し遂げた。その例を挙げると、チナンパのシステムによって、元々は小さかった小島を大きくした。それは集中的な農作や、湖にできた土地に家や建物の建設を可能にした。また、石畳やカヌーが通行するための水路を設計し、テノチティトランと他の都市を行き交う道路を建設した。

 ここでは、現在の原住民のコミュニティーで用いられている数々の物を展示している。これらはかつてメシーカ人が経済の支えの一部として、その重要な活動を行うために用いられたと思われる道具を例証するためのものである。トラロックに対するそれのように、彼らは水の神に対して崇拝の念を持った。

 一方で、農業は暦のシステムに従った活動であった。「時」はシパクトナルとオショモコという一対の神とケツアルコアトルによって作られた。それは現世と神の事象に連続性、秩序、計画性を与えるためであった。すでに見てきたように260日からなっている神聖な時間は基本的には占いの暦の中で儀式を割り当てていた。現世の時間は太陽暦によって構成されていて、乾期や雨期によって規定され、農耕に関わる活動を統轄していた。20日ごとの18ヶ月とそれにネモンテミと呼ばれている5日間の時期に分割されていた。最後の5日間は不吉だと考えられていた。その期間中はいかなる祭りも行われなかった。しかし、その五日間を加えて365日のサイクルは完全なものとなっていた。

 それぞれの月または20日間の守護神のための儀式は、この暦に従っていた。その祭りの多くはトラロックかもしくは「肥沃」の神々に捧げられたものであった。

 この神のほかに、農耕に関係した神々は他にも多くいた。そのうちのひとつがトラロックの仲間のチャルチウトリクエで、それは川や湖、そしておそらく海の水の女神であった。他の神々は、トウモロコシの「維持」の主要な女神であるチコメコアトル、熟していないトウモロコシの神であるシロネン、一般的なトウモロコシの神であるシンテオトル、肥沃の神であり、春の神であり、また草木の神であるキホトテック、プルケとリュウゼツランの神であるマヤウエルなどがいた。その他にも多くの神がいて、彼らはいろいろな方法で土地の肥沃化の過程において関わっていた。

 組織だった商業はメキシコの民のとって別の重要な経済活動であった。ポチテカと呼ばれる商人たちには一般的に多大な敬意が払われ、その社会的な階層は十分に高いものであった。しかし彼らが免税されることはなかった。ポチテカは商業ルートを通って様々な地域へ向かった。常設の市場やティアンギス(定期市)で商う産物を持ってきたり、交換するため、そのルートはマヤ地域や現在のパナマに到達するものもあった。商売するための手段は、購入、貨幣として基本的にはカカオの使用(他の物もこのように用いられていたが)、必ずしも同じ類のものではなかったが同等の価値のある商品の交換というものであった。ポチテカは時には敵の領土に無謀な侵入をする、メシーカ政府に仕えるスパイでもあった。

 メシーカの支配下にある納税と商業の地域は地図でその位置を特定することができる。(日本語訳:平田和美)

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Ultima modificación: 31 de Mayo, 2000
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