イベントレポート

メキシコインターンシップ 体験報告会

2016.05.10

4月20日(水)の昼休み時間、iCoToBaでメキシコ・インターンシップ帰国報告会を開催しました。メキシコに進出している日系企業(自動車産業)で半年~1年におよぶ海外インターンシップを終えて帰国した3名の学生(スペイン語圏専攻4年生の鳥居愛さん、中川京さん、川端麻衣さん)が、その貴重な体験を熱く語りました。

通訳・翻訳のレベルを向上させようとメモを取りつづけたノートには、自動車関係の部品名、製造現場や社内会議で使われる専門用語や独特の表現(日本語・スペイン語)がびっしり。その分量は大学ノート数冊分におよび、日々格闘してきたことをうかがい知ることができました。

近年メキシコに進出する日本企業は急増しており、来年には1000社を超える見通しで、これは10年前の約6倍です。そのような状況下、メキシコではスペイン語を使える日本人が求められていますが、産業で使われる専門用語を理解して使いこなすのは容易なことではなく、実地研修が不可欠です。本学は昨年から産学連携による人材育成の一環として、メキシコに進出する日系企業2社(自動車関連産業)と覚書を締結し、長期インターンシップ(半年~1年)として学生をメキシコに派遣しています。上記3名はその第一期生で、様々な困難に直面しながらも大きく成長して帰ってきました。3人のお話を一部抜粋して以下に掲載します。

★鳥居愛さん(株式会社日本クライメイトシステムズ・グアダラハラ事業所およびサラマンカ工場で1年間研修)

 車には全く興味がなかったが、新工場を立ち上げるということに関心があり、また海外で働いてみたい、実践的なスペイン語を身につけたいといった理由でチャレンジした。前半はグアダラハラ事業所の品質管理部門でカーエアコンなどについて研修の毎日、後半はグアナファト州サラマンカの新工場で製造部門専属通訳をした。通訳の内容は、ラインリーダーの面接、教育、採用、業者との打ち合わせ、社員間の打ち合わせ、技術部門の教育、契約書、議事録、メールの翻訳など多岐にわたる。最初のうちは自動車部品の名前すらわからず、仕事らしい仕事も任されず、社員の人たちは良くしてくれるのだが、自分は何のためにここに居るのだろうと悩んだが、しばらくして「チャンスも仕事も待っていてはやってこない、自分でつかみとれ!」と考えるようになった。それからは主体的に仕事を探して動きまわり、仕事が楽しくなった。メキシコで学んだことは、「主体的に動く!」「仕事を楽しむ!」という姿勢。インターンシップに参加して本当によかった。

★中川京さん(YKM=Y-TEC KEYLEX MEXICO社で1年間研修)

 メキシコ留学から帰国し、就職活動が始まろうとしていたとき「結局自分は何がしたいんだろう?」と考えるようになり、海外インターンシップに挑戦することにした。YKM社(従業員1000人、うち日本人60人)で、主に人事部と購買部での通訳を担当した。実際には、日本人社員が滞在しているホテル、住居でのトラブル解決の通訳もあれば、社内会議通訳、材料・機材の調達、メキシコ人従業員の家族を工場に招待する「ファミリーデイ」の企画や社内での日本語教室の実施等「何でもあり」の毎日である。私のインターンシップは、「試して、絶望して、そして勉強した」1年だった。「912,7分の4工程完了。バリの修正が必要」などと言われても、最初は何のことか全くわからず訳せない。社内会議で通訳を務めてもスムーズに進まない時があり、つらくて何回も心が折れそうになった。しかし、あきらめないで努力して、乗り越えて、やりきったという感覚が今ある。このインターンシップにより、私はモノづくりの仕事を支える仕事がしたいと真剣に考えるようになった。

★川端麻衣さん(YKM=Y-TEC KEYLEX MEXICO社で半年間研修)

 品質管理部に配属され、不良品報告書の翻訳、機材点検、商談、品質会議、出張者の御付、朝会、面接など、様々な通訳場面を経験させてもらった。不良品削減のキャンペーンなど、通訳以外の仕事も任された。工場での通訳機会が多く、「ブッシュ破損、SWチリ、クラッシュカン、セッペン、カエリ、6S、ブローホール・・・」等々、専門用語もどんどん学び、おかげで最後には設計図面も読めるようになった。毎日楽しいばかりでなく、緊張の連続でつらいこともたくさんあった。通訳がうまくできず、トイレに駆け込んで一人で泣いたこともある。逆に上手くいって感謝されたときは本当に嬉しい。インターンシップで通訳なんてできるだろうかと不安に思う人もいると思うが、その人のやる気は誰かが絶対見ていてくれる。後輩の皆さんにもぜひ勧めたい。

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